適応障害

正直言うと、「うつ病」と「適応障害」の
区別をつけることは、精神科医にとっても
困難です。


なぜなら、「適応障害」で現れる症状は
「うつ病」とほぼ同じだからです。

そして、治療の仕方も同じです。

専門家の中には、原因やストレス因が
はっきりしている「反応性うつ病」と
「適応障害」は同じものと考えている
人もいます。

「適応障害」の中で、頭痛、腹痛などの
症状を伴うものを、心療内科では
「自律神経失調症」あるいは「心身症」
と呼ぶこともあります。

ただ、うつ状態に陥ってしまう、ストレス因、
環境因がはっきりしなければ「適応障害」
とは診断しません。

原因がはっきりしないでうつ症状が出ている
場合は、「うつ病」としか診断しません。

特に会社などに診断書を提出する場合、
診断名に「うつ病」と書かれるのを嫌がる
患者さんもいらっしゃいます。

その患者さんがうつ病になった原因が
明らかである場合には、私は、診断書に書く
診断名を患者さん自身に選ばせます。

「反応性うつ病」と「適応障害」のは同じ
ものであることを説明したうえで、
会社にはどちらの病名で伝えたいかと
尋ね、患者さんが希望する方を書きます。

どちらの病名も嫌がる患者さんには、
「自律神経失調症」と書きます。

私はDSM-Ⅳに準じて正式な診断名を決めるので
カルテには「適応障害」と書きます。

しかし、病歴には必ず「反応性うつ病」と捉え、
うつ病の治療をしていく、と記載します。

一般に「適応障害」のうつ状態は軽いと
言われてますが、これは表面的な一般論に
過ぎません。

実際には「適応障害」の患者さんも、
死ぬことを考えたり、
一日中寝込んだりします。

強いて言えば、治療していく過程で、
うつ病治療の「投薬20%、環境80%」が
最も適用できるうつ病例が「適応障害」
ということです。