多種類の薬を飲まされてきたうつ病患者

抗うつ剤が3種類以上、抗不安薬が2種類以上、
睡眠薬が3種類以上処方されている場合、
「薬を必要以上にたくさん飲んでいる」

と判断されて良いでしょう。

うつ病の状態によっては、私も抗うつ剤を
2種類出すことがあります。

その場合は、組み合わせを考えて出します。

例えば、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
とノルアドレナリン賦活系の四環系抗うつ薬
などのように。

SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)
は、セロトニンとノルアドレナリンの両方の元気物質
を脳の中に増やすので、他の抗うつ剤と組み合わせて
出すことはあまりしません。

SNRIは、日本ではミルナシプラン(トレドミン)しか、
現在のところ使用が認可されていませんが。

SSRI系のパロキセチン(パキシル)、
フルボキサミン(ルボックス、デプロメール)と
四環系抗うつ薬のミアンセリン(テトラミド)は、
組み合わせの相性が良いことが多いのです。

ですから、焦燥感の強いうつ病に良く用います。

ミアンセリンは沈静効果があり、セロトニン賦活系
のSSRIと使用することで、うつ症状を相乗的に
改善させます。

しかし、どの抗うつ剤が体質的にもうつ症状にも
ぴったり合うかは、それは患者さんにより様々です。

抗うつ剤が3種類以上になってしまうと、同じような作用の
薬を2種類以上飲まされてしまっていることになり、
それだけ副作用の出現する度合いも高まります。

睡眠薬に関しては、通常、短時間作用型と中、長時間
作用型それぞれ1種類までにとどめます。

他院から紹介されてくる患者さんの中では、最高で
抗うつ薬7種類、睡眠薬5種類、5年以上も服用してきた
患者さんもいらっしゃいました。

そのような方のうつ病の経過は、低空飛行のまま数年以上
経過していることが多く、薬をちょっとでも減らしたら
さらにうつ病が悪化してしまうのでは、
と間違った思い込みをしている場合が多いのです。

私は、多種類の薬を長年飲んできたうつ病の患者さんには、
その患者さんの身体とうつ症状に無理のないように
少しずつ減薬、つまり薬の整理を行っていきます。

それも一方的に減らすのではありません。

今まで飲んできた薬の作用を簡潔に説明し、同じ作用をする薬は
何種類も要らないことを納得していただいたうえで、減らします。

必要であれば、薬剤師の方にも同席していただきます。

先の患者さんも、抗うつ剤7種類から2種類、
睡眠薬5種類から2種類まで減らすのに1年半かかりましたが、
その後の治療経過は見違えるほど順調でした。