身体に現れるうつ病の症状

患者さんの中には、とても我慢強い方も
いらっしゃいます。

「気力がない」「眠れない」「死にたい」

などのうつ症状を感じても、うつ病を自覚
することなく、気合で乗り切ろうとします。

このような場合、うつ病はどんどん進行し、
身体の方が反応してきます。

ある病院副院長で泌尿器科医師、58歳男性
の例です。

約2年前より、「気分がけだるい」ことを
感じてはいたものの、仕事が先決、と
休むことも治療を受けることもせずに
やってきました。

そのうち、食欲が一気になくなり、実際に
食べられる量も激減し、体重も2ヶ月間で
10kg以上減少しました。

そして、ついに朝起きられなくなり、仕事も
休みがちとなりました。

昼過ぎから這うような形で職場の病院に行く
ことも回を重ねました。

ご本人は低血圧のせいと思ってきたようです。

そのうちに、話すこともできなくなり、ほとんど
一日中無言で過ごすようになりました。

さすがにこの頃になると、同僚の医師、ご家族にも
おかしい、と気づかれ、半ば強制的に精神科
に連れてこられました。

診察時もご本人は何も話さず、下を向いたまま、
苦しそうに呼吸しているだけでした。

身体検査を行ったところ、低血糖、貧血もかなり進んで
いたため、即入院していただきました。

もちろん、ご本人は話もできない状態で入院に同意できない
ため、やむを得ず、奥さんの同意を得て、医療保護入院という
形となりました。

入院後、早速、抗うつ剤アナフラニールの点滴を行いました。

食事がまともに取れるようになってから、服薬治療を開始
しました。

2週間目にしてようやく話もできるようになり、1ヵ月半後
無事に退院していきました。


ご本人はまさか自分がうつ病だとは、入院するまで気づかなかった
ということです。

このようにうつ病を放っておくと、身体の変化として現れて
くることもかなりあります。

朝起きられない、食事が取れない、頭痛、下痢、めまい耳鳴り、
ふらつき、眠気、呼吸困難、動悸など、
人により多様な形で身体が反応してきます。