うつ病かな?

「忙しいのは分かってますが、
 是非相談にのっていただきたいことがあります。」

精神科医になって、知り合いから何度か

このように依頼されたことがあるのです。

もう少し詳しく話しを聞いてみると、
「もしかしたら自分はうつ病かもしれない。
 でもどうしたらいいのでしょうか?」

実は「うつ病かな?」と考えられただけでも
大いに救いのあるところなのですよ。

なぜなら、「うつ病」という病名があまり知れわたっていない頃には
「単に怠けているだけ」と考えて自分自身を追い込んでしまうことが
多かったからです。

では、例えば「インフルエンザかな?」「妊娠かな?」と
思われたらどうされますか?

おそらくインフルエンザも妊娠も、発熱とか月経停止とか、
自分自身の身体のある兆候から判断してその判断を確かめるために、
ためらわず病院に行くことを考えるでしょう。

病院に行く前に、インフルエンザを疑ったら
まず自分で体温を測ってマスクをつけますし、
妊娠を疑ったらまず薬局で妊娠検査薬を買い求めて
自分で妊娠反応を確かめる。

つまり自分である程度、診断を確信し、
対処することができるわけですね。

だけど、「うつ病かな?」と思ったらその直後、
すぐに病院で診察を受けることにまだまだ
抵抗を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか?

「病院に来るまでに、本やインターネットなどで
うつ病についてある程度調べました。
 でもなかなか病院に行く決心がつかなくて…」
と答えられる患者さんも多いのです。

現在はメディアの影響もあり、「うつ病」についての
病名も症状も治療法もある程度は知れ渡っているため、
「うつ病」とはどのようなものかについて
認識していらっしゃる方も多いものです。

ところが、実際に自分自身が、あるいは家族、
身近な人が「うつ病」と診断され、
投薬などの治療を受けるとなると、
状況は一気に深刻なものになってくるものです。

これは、「インフルエンザ」や「妊娠」の比ではありません。

原因はいくつかあります。

まず、「うつ病」をはじめ精神科で扱う症状は
はっきりと目に見えるものではありません。
また、いつまで治療を受ければいいのか、
についても極めて漠然としています。

そして最も大事なことですが、
情報が多く出回っている病気にもかかわらず、
「うつ病とはどんな病気でどんな治療が必要か?」について
的確に理解し実践している人は医療者も含め意外に少ないのです。

「うつ病かな?」と思った時、
すぐに適切な対処ができるために必要なことは、
実際のうつ病の治療現場の状況をしっかり把握しておくことなのです。

これから「うつ病」を取り扱う医療現場の状況をご紹介していきながら、
「うつ病を確実に治す方法」について正確な情報を
提供していきたいと思います。