うつ病患者への接し方

うつ病の患者さんのご家族、同僚の方と面談すると、
「本人にどんな言葉をかけてあげていいのかわからなくて…」
と話されることがほとんどです。


「うつ病患者には励ましてはいけないし、
結局何も話しかけてあげられないことが多いんです」
と話されることも多いものです。

うつ病に関する本を読むと、
「頑張れ、とか励ますことはうつ病患者にとって
負担となるため絶対にしてはいけない」
と書かれています。

では、うつ病になると実際にどんな言葉をかけてほしいと
思うのでしょうか?

患者さんにもよりますが、大抵はとにかく休ませてほしい、
放っておいてほしいと思うものです。

時に思いどおりに自分が動けないことにイライラしたり、
不安になったり何もできないことに悲しくなったり、
本当に不安定です。

担当医としては、診察に来られたうつ病の患者さんが
今何を思っているのか、
正確に推測して言い当ててあげることも大事です。

例えば、自殺したいと思うことを「希死念慮」と言いますが、
うつ病の患者さんに対しては、この気持ちがあるかどうか
把握することも重要です。

ご本人は決して自分からは「死にたい」とはおっしゃらなくても、
熟練した精神科医であれば、患者さんが自殺したい気持ちを
持っているかどうか見破るのは簡単なことです。

「あなたはご家族には決して心配かけまいと
無理に明るく振舞っていらっしゃるようですね。」

「でも本当は何もできずに役立たずの人間になってしまって、
迷惑かけるかけてるだけだし、こんなに苦しいなら
いっそ死んでしまいたい、とお考えになったこともあるのでしょう?」

このような言葉に、今までこわばって無表情に近かった
患者さんの表情は一変し、みるみる目に涙があふれてきて、
「実は…」と嗚咽し出すことも多いものです。

でもその死にたい、という気持ちは決して本心ではない、
うつ病という病気がそのような悲観的な気持ちにさせて
いるのだと説明すると、
患者さんの心もすっきりと整理されます。

そして診察の最後には、
「死にたいという気持ちが起きても
決して実行に移さないと約束してほしい」
と固い約束を交わします。


「担当医としてあなたのことを信頼している」
ときちんと患者さんの目を見ながら言います。

「とにかく次の診察まで何もしなくていいから、
生きて顔を見せることだけは約束してほしい、
お待ちしています。」
といった言葉をかけます。

しかし、ご家族や友人がうつ病の患者さんの心理状態を察して、
気の利いた言葉をかけてあげるのはしんどいものがありますし、
こんなことをすれば、ご本人だけでなく、
周りの人たちも疲れてしまいますよね。

そこまでする必要はありません。

その代わり、あなたがご本人のことをどれだけ愛して
大切に思っているかを伝えてあげてください。

「あなたのうつ病が治るまで私も一緒に戦う」
「うつ病が治ったら一緒に○○へ行こう。
治るまで私もあなたに協力していきたい」

別に言葉でなくても構いません。

患者さんが辛い心と身体に鞭打って仕事に行く時には、
可能なら一緒に職場まで送ってあげるとか、
普段食欲ない患者さんが食べられそうな時には
好物の物を作ってあげるとか。

こうした周りの人の愛情は必ずうつ病と戦っている
患者さんにも伝わるはずです。

もちろん、どうしたら良いか迷ってしまった時には、
ご家族や友人も担当医と面談して、
アドバイスを受けることもできます。